

iPhoneに限らず、現在使っているスマートフォン・ガラケーのうち2015年6月以降に発売された端末で、且つ購入から半年が経過した端末は、SIMロック解除ができるようになりました。
これにより、ドコモで購入したiPhoneにSoftbankやauで契約したSIMカードを差し込んで使用したり、海外に出る時も、予め国内で海外のSIMカードをネットで購入しておけば、現地に到着して自分の端末がそのまま使えるようになります。
でも、普段からしょっちゅう海外に出る人や、ドコモで購入したiPhoneにsoftbankのSIMカードを差し込まなければならないシチュエーションなんていうのは、大半の人にとって普段の生活にたいした影響はありません。今の時点では。
今後、多くの人にとって大きく影響の出る場面が一つあります。
SIMロックについて
とその前に、この「SIMロックなるものの問題点について改めて。
SIMロックとは、一つのキャリアのSIMカードしか認識しないように端末に通信に規制をかけることです。これによって、キャリアが端末購入者から毎月の通信費を(2年間)得られ易くし、端末の購入者が容易に他キャリアへ移りづらい状態を維持した上で、端末代を大幅に値下げしています。
要するに、「端末代金を安く販売していることは消費者にメリットがある」という名分のもと「SIMロック解除が必要だ」というキャリアと端末製造メーカーのスタンスの上で実施されている通信規制措置、これが「SIMロック」です。
もちろんこれによって、携帯電話が日本中に一気に普及して、利便性が大きく上がったという側面もあるのですが、これだけ携帯電話が普及した現在指摘をされているのが「SIMロック解除によってキャリア間の価格競争がなされず、消費者に不利益をもたらしている」という点。
さらに、これまで日本メーカーが製造する携帯電話・スマートフォンは、キャリアがメーカーに製造を依頼し、製造した端末をキャリアが消費者に販売するというカタチなので、これまで富士通やパナソニックなど国内メーカーは日本の消費者向けの端末を中心に携帯電話・スマートフォンを作ってきました。
このことから、個人的には製造メーカーの国際競争力も奪ってしまっている、という弊害もあるんじゃないかと、大いに感じるのです。 仮に車で例えれば、トヨタや日産が日本国内でしか走れないクルマをつくり続けるようなもので、これでは技術力、会社としての競争力はどんどん落ちてしまいます。
実際に、NECはスマートフォン製造から撤退しましたし、海外で売られているスマートフォンは海外製のスマートフォンばかり。
SIMロック解除が義務化!!
「SIMロック解除を義務化しよう」と話が出てきたのは2000年代半ば以降。B-CASにしろSIMロックにしろ、規制で企業が競争力を伸ばせなくなるのは日常茶飯事です。
海外で得た利益は非課税なので国の税収には影響ないでしょうが、日本のメーカーの国際競争力が落ちるというのは、日本の雇用機会が減るでしょうから、、というわけで、SIMロックというのは大いに不利益だ、という考えが広まってきました。
メリットがあるのは端末を売るとき消費者に対して10万円近くする高い家電製品を一見安く見えるようにして商売ができるキャリアだけです。
とそんなこんなで必要悪だったSIMロック解除が義務化することが決まったのでした。
SIMロック解除の影響とは・・・
そして、今後多くの人にこのSIMロック解除の影響が出る場面があります。
それは今後、端末を買い替えるときです。
2007年頃から始まったスマートフォンの高機能化。これが徐々に落ち着いてきています。
これまでは、2年前に購入したスマートフォンと現在販売されているスマートフォンには機能面で大きな差がありました。
そのため、端末の購入から2年以上経過した人にとってスマートフォンを買い替える動機はたくさんありました。でも、今後は高機能化が落ち着いてきます。
クルマで(おおげさに)例えれば、以前は10キロ以上走れば不具合が多発して乗れなくなっていたものが、20キロ走ってもまだまだ乗れる、ようなもの。
高機能化により端末の陳腐化が収まるので、買い替えの必要がなくなってくる、これは多くのメディアでも予想されています。
買い替えが不要になると、キャリアショップに出向く回数も落とすお金も減ります。さらに、スマートフォンに10万円近い大金を出す人は必ず減ります。4人家族なら近場で温泉旅行に行く人の方が圧倒的に多いです。
そして、これまで多くの人が2年ごとに10万円近いお金をキャリア(メーカー)に支払ってきましたが、機能が大して変わらない今後は代替になるものを選ぶ人の割合が増えます。それが、中古市場です。
中古といっても、何年以上も使用されたボロボロの端末だけではありません。リファービッシュ(いわゆる外装交換)されたものも非常に多く存在します。さらに、見た目は新品同様の中古品も多数存在します。私たちも携帯端末の中古事業を行っていますが、実際に新品同様の商品は在庫の半分以上の規模です。
現時点での影響
実は、国内メーカーの端末は日本国内向けに作られているにも関わらず、今の時点でも香港や欧米で一定の人気があり、香港にある電子製品の問屋街では(SIMロック解除を強引に解除された)国内メーカーのスマートフォンが以前から多く売られているほど。
そのため、日本国内での「SIMロック解除」が普及すれば、グローバルモデルのスマートフォンが国内メーカーから多く発売されるようになるんだと思います。
このように、今はあまり気にかけられていないSIMロック解除の話ですが、今後の私たちの生活に大きな影響をもたらすかもしれません。
キャリアに支払う端末代が2年で10万円弱、月単位で約4,000円。
もし端末を割賦購入する人が5,000万人なら、1ヶ月2,000億円、年間2.4兆円をキャリアに支払っている計算です。
見えないコストがどれほどかかっているのかは分かりませんが、もう少し安くしてもらえないですかね。って思っちゃいます。