ここ数年の格安通信サービス(MVNO)の料金プランを見ていると、データ容量ごとに細分化された料金プランから、データ容量の区切りを大きく取ってプラン数を減らす簡素化の方向への動きが見られます。
今年2018年10月、Sony系の格安通信サービス「NUROmobile」が料金プランの簡素化を実施しました。
旧プランでは、最少2GBプランから1GB刻みで最大10GBまでの9種類を用意していましたが、10月1日以降は、2GB・7GB・13GBの3種類に絞り込みました。
日本通信の「b-mobile」でも12月25日から同様の料金プランの簡素化が行われました。
「b-mobile S 990ジャストフィットSIM」及びデータ専用プラン「b-mobile S 190PadSIM」は従量課金制の料金プランで1GBごとの課金増の仕組みでしたが、改変後は、3~4GBごとの区切りでの課金となります。
また、少し前には、9月にmineoが、料金プランの体系は変更しないものの、1GB容量のプランを廃止しました。
元々、格安通信サービスでは、料金プランに細かな容量区切りを設けていない格安通信サービスも多く、概ね、最少3GBから、6GB・10GBといった3~4GBごとの容量区切りで料金プランを構成しているケースが多くなっています。
ユーザー側としては、細かな料金プランで自分にフィットしたプランが探せる事はメリットですが、なぜ、格安通信サービスは料金プランを簡素化の方向へ動いているのでしょうか。
細かな区切りを用意していても、利用者が少ない容量がある…と言う事ももちろんあるはずです。例えば、4GBプランなどは、多くのユーザーが選択する3GBと5GBに挟まれて、利用者が少なそうな容量ではあります。
しかし、通信会社にしてみれば、4GB等の言ってみれば「不人気容量」を用意していた処で、特にコストが嵩むわけではないのに、なぜ簡素化へ向かうのでしょうか。
それは、おそらく収益性向上のためではないかと想像できます。
こちらの図をご覧ください。
こちらは、NUROmobileの新旧料金の比較表です。
旧プランでは、最少2GBから1GBごとに200円の課金アップとなっています。
しかし、新プランでは、3・4・5・6GBプランが廃しされ、その容量しか使わないユーザーでも7GBの料金を支払う事になります。
8・9・10GBも同様に13GBのプラン料金を支払わなければなりません。
つまり、3・4・5・8・9・10GBしかデータ容量を必要としないユーザーにとっては実質「値上げ」なのです。
新旧で同額なのは、2GBと6GBの場合、値下げとなるのは7GBのみです。
つまり、料金プランの簡素化は、従来の3~5、8~10GBをチョイスするはずのユーザーに、より上位プランの料金を課金できることになり、収益性のアップに繋がるという訳です。
プランがシンプルで選びやすくなる、分かりやすくなるといったメリットもあるのかもしれませんが、料金が値上げされてでも得たいメリットではないはずです。
例外もあります。
日本通信b-mobileはプラン改変と同時に料金自体も見直し、最少プラン以外が全て値下げとなっています。
b-mobileSの旧プランは、3GB以上の料金設定が相場よりかなり割高との批判もありましたが、新プランの通話機能付き6GB=1,790円、10GB=2,590円等は、他社と比べてもかなり割安な料金設定になっています。
ただ、それでも、2GB、4・5・7・8・9GBしか必要としないユーザーは、より上位の割高なプラン料金を支払う事になる構図は変わりません。
プラン簡素化は、多くの場合で実質的な値上げになるケースが多く、ユーザー側から見ると、あまり歓迎できない改変と言えそうです。
source:nuromobile
新宿本店
160-0022
東京都新宿区新宿3丁目35−6アウンビル 5F
0120-882-463