話題の新機種「Google Pixel 4」の実機を使ったレビューの第2回目は、基本的な性能や操作性、さらには、AntutuやGeek Benchを使用したベンチマークスコアの測定結果などを、手持ちのiPhone 11と比較してみます。
Antutu(アンチュチュ)は、スマホの性能を測定するベンチマークアプリで、現在、最新バージョンは「8.0」となっており、従来の「7.x」に比べると、より正確に高精度にスマホ性能が測定できるようになっています。
実際に、Google Pixel 4を計測した結果は、上記のスクリーンショットの通り「40万」前後でしたが、このスコアは、現在のスマホのスコアランキングでは上位にくるものです。
こちらは、少し古いのですが2019年9月時点のAndroidスマホのAntutuスコアランキングです。
この時点でトップだった、ASUSの「ROG Phone 2」「Zenfone 6」よりもスコアが上回っています。
しかし、iOS機器と比べてみると、スコアは第6位にランキングされ、2019年のiPhone 11シリーズを下回り、2018年iPhone XSシリーズより上回るといった感じです。
こちらは、筆者の手持ちのスマホのAntutuの実測スコアです。
iPhone XSは上回るが、iPhone 11には及ばないといったランキングとほぼ同等の結果でした。
機種名 | iPhone 11 | iPhone XS | Zenfone 6 | Pixel 4 |
---|---|---|---|---|
合計スコア | 428,427分 | 357,427分 | 376,359分 | 402,793分 |
CPU | 123,707分 | 131,423分 | 117,630分 | 124,441分 |
GPU | 218,590分 | 148,546分 | 170,823分 | 170,489分 |
UX | 74,099分 | 67,433分 | 73,070分 | 51,132分 |
MEM | 12,031分 | 10,025分 | 14,836分 | 56,731分 |
こちらは、Zenfone 6のレビューの際に製作した3機種のAntutuスコアの比較表に、今回のPixel 4のスコアを加えたものですが、特に、目立った高性能ぶりという感じではありません。
89,800円のPixel 4に対して、74,800円のiPhone 11の方がスコアで上回っていますし、69,500円のASUS Zenfone 6も近いスコアをマークしています。
Androidスマホの中では現状トップのスコアではありますが、iPhoneとの比較ではスコアは下回っており、なおかつ、比較したスマホの中で最も割高なPixel 4は、Antutuスコアで見る限りでは、特に約9万円のPixel 4の優位性は強く感じませんでした。
「Geek Bench」(ジークベンチ)は、スマホのCPUの性能をベンチスコアで表示する測定アプリです。
Antutuが、CPU性能に加えて、端末の3DグラフィックやRAM等も総合的に測定するのに対して、Geel BenchはCPU性能測定に特化したアプリで、現在の最新バージョンは「Geek Bench 5」です。
こちらが、Pixel 4のGeek Benchでの計測スコアで、シングルコア:613、マルチコア:2,526という結果でした。
こちらは、現時点のGeek Benchスコアのランキングです。
実測したPixel 4は、マルチコアでは第3位にランキングされますが、シングルコアでは第9位のスコアでした。
必ずしもスコアは常に一定ではなく、計測ごとに多少のブレは生じますが、さすがに誤差でトップスコアが出るとは考えにくいですし、逆にマルチコアの計測が多めの誤差が出たとも考えられます。
試しにTwitterで拾ってみました。
Twitter上で何件かの投稿を発見しましたが、Antutuで40万前後、Geek Benchでシングル:630程度、マルチ:2500+α程度のスコアとなっており、筆者の計測値もだいたい妥当なラインのようです。
Pixel 4は、Geek Benchの計測においても、スコアは決して低くなく充分な性能を持っている事がわかりますが、最新モデルという事で、新モデルごとに飛躍的なスコアの向上が見られるiPhoneのような感覚で見ると、少々物足りない印象です。
Antutu項でも書きましたが、端末の価格の要素を加味すると、ベンチマークスコアで見る限りは、現状で購入可能なスマホの中で、ベストバイとは断定しにくいものがあるかもしれません。
現在、手元にあるスマホ端末は6台ですが、2018年以降に発売されたモデルは、iPhone XS(2018年)、iPhone 11、Pixel 4(共に2019年)です。
今回、Pixel 4をレビューするに当たっては、日ごろ、プライベートも含めiPhoneユーザーの筆者としては、出来限りiPhoneへの「贔屓目」は排除するように心がけましたが、どうしても、性能や操作性を評価する際に、iPhoneを基準に、iPhoneとの比較で判断してゆくしかない事は致し方のない前提だと思います。
以下は、そういった視点で見たPixel 4の様々な機能や性能に関する筆者の所感です。
Pixel 4にも「顔認証」機能が搭載されており、自分の顔を登録する事で、スマホロックを顔認証で解除する事ができます。
顔の登録方法や、画面に顔を正対させる等については差はありませんが、実際に顔認証が行われるのに、Pixel 4では一瞬の間があります。
おそらく、コンマ何秒という世界だと思いますが、筆者の感覚ではiPhoneと同等か、それより早いという印象はありません。
感覚で言うと、iPhoneは端末を持ちあげた瞬間から顔の認識を始めていて、画面下端を上へスワイプする際には、すでに認証を終えているので、間発入れずにホーム画面が開く印象ですが、Pixel 4は、画面下端を上へスワイプする動作をした段階ではじめて認証するので、そこで一瞬の「間」が生じるのではないか…、そんな差です。
Pixel 4が遅いという感覚はありませんが、iPhoneの方は何かをしている様子もなく、すんなりホーム画面が開く印象です。
特に、今年のiPhone 11は顔認証における顔の向きや確度に寛大になっていて、iPhone XSに比べても、認証が有効な範囲が各段に広い印象ですが、その点でも、Pixel 4は顔の位置や向きがシビアに感じます。
顔が正面から少しズレると認証してくれないため、iPhoneの感覚で顔認証しようとすると開かないと言う事が多々あります。
慣れているせいもあるかもしれませんが、顔認証は若干ですが、iPhoneの方がスムーズに感じます。
筆者の日ごろのメイン端末はiPhoneですが、仕事がらAndroidスマホもサブ機として所有しており、気が向くと弄っている事も少なくないのですが、筆者が感じる一番の「不便」は「戻る操作」でした。
全画面になるまでのAndroidスマホには、長年、「戻る」ボタン、あるいはナビゲーションバーに「戻る」が装備されていました。
「戻る」ボタンがあるので、操作性がiPhoneより分かりやすいとの評価もありましたが、筆者には逆に感じられていました。
例えば、ニュースサイトを読んでいる際に、数多くのニュースから選んで記事を読み、トップページやカテゴリページへ戻ろうとした際、iPhoneは画面を左端から右へスワイプする事でページを戻る事ができますが、Androidは、戻るボタンを押す必要がありました。
戻るボタンがある事は、扱いに慣れていない内は「分かりやすさ」に繋がりますが、実際に操作する際には、「持ち替え」という動作が必要になる、あるいは、両手操作をする事となり、実用面では不便さに感じていました。
特に、就寝前に横になってスマホ操作をしている時や、電車内で片手操作をした炒る際に、iPhoneの左→右のスワイプによる「戻る」は非常に利便性が向上する、筆者にとって必須の機能なのでした。
今回、Pixelで驚いた事の1つに、操作性がiPhoneに非常に近くなったという点でした。
前述の、画面左端からのスワイプで「戻る」もそうですし、画面下端からスワイプでホームに戻る、途中で止めればアプリ切替えと、まるでiPhoneと同じような動作で操作できるようになり、筆者としては、かなり操作性が向上したと感じました。
細かいニュアンスの部分で、ぎこちない部分がありますが、それでも、いちいち「ホーム」「戻る」ボタンを押すために、スマホを持ち帰る必要がなくなった事だけでも各段の進歩と感じます。
こちらは、Pixel 4の「システムナビゲーション」の設定画面です。
「ジェスチャーナビゲーション」は、前述のiPhoneによく似た「手指の動作」による操作です。
「3ボタン ナビゲーション」は、従来からのAndroidの標準的なナビゲーションである3つのボタンが表示されます。
同じジェスチャーで動作するようになったとはいえ、実際の動きや感じ方はかなり違います。
iPhoneでは左端からスワイプを始めると、指の位置に合わせてページが右に動き、下にある前のページが見え始めるので、戻っている過程が目ではっきり分かるのが特徴です。
一方のPixel 4は、左端からスワイプすると画面に「<」のマークが現れ、戻る動作である事が表示されますが、表示画面は動かず、スワイプしきると前のページが一気に表示されます。
どちらか良いとも言えませんが、筆者は慣れの問題もあるので、iPhoneの画面が見切れていく方が自然だと感じます。
画面下端から上へ向けてスワイプし途中で指を止めると、アプリ切替え画面になりますが、この動作の表示も異なります。
iPhoneは、3~4つのアプリが重ねて表示されるのに対して、Pixel 4は、アプリ画面は重ならずに横並びでの表示となります。
特にどちらが操作しやすい、しにくいと言う事はありませんが、例えば、メールに記載された番号に電話を掛ける場面などで、重なっていた方が記述を見やすいとい場面はあるかもしれません。
ただ、ちょっと感じるのが、動作の滑らかさの違いです。
Pixel 4では、左端からでも、下端からでも、スワイプした際に発生する動作に滑らかさが足りないと感じます。
簡単に言うと、ヌメヌメ感が足りず、動作に高級感というか、上品さが足りない…そんな印象を持ちました。
Pixel 4は、現在のモバイル向けCPUの最高峰と言われる「SnapDragon 855」を搭載していますが、iPhone 11・iPhone 11 Proに搭載の「A13 Bionic」は、スナドラ855をも凌いで、スマホ向けCPUではダントツの性能だという噂です。
米技術レビューサイトの「AnandTech」(アナンドテック)のiPhone 11シリーズの詳細なレビューによれば、Appleの「A13 Bionicは、A12 Bionicに比べて20%高速である」という主張が正しい事を実証したと、米メディア「9to5Mac」が伝えています。https://9to5mac.com/2019/10/16/anandtechs-in-depth-iphone-11-review-says-the-a13-processor-is-twice-as-fast-as-the-competition/
AnandTechは、最終的に、モバイル部門に関しては、A13 Bionicに競合するものはないとし、SoCとして最強だとしています。
そうした非常に詳細で難しい科学的なレポートを読んでも、正直ちんぷんかんぷんです(笑)が、実際にデバイスを使った際の「ヌメヌメ感」や「応答性の俊敏さ」や「迷うような動作の逡巡の無さ」などで、実感として「ナルホド」と納得できるものはあります。
Pixel 4も実用上では全く問題がないのは確かですし、高機能・高性能スマホの中でもトップクラスである事は確かですが、全てのスマホの頂点に立つ…といった、ずば抜けた高性能機という印象はありませんでした。
コチラの画像は、左からiPhone11・Pixel 4・iPhone XSを並べたものです。
本体サイズは、6.1インチのiPhone 11が最も大きく、5.8インチのiPhone XSと5.7インチのPixel 4は、縦方向にPixel4が若干長いだけでほぼ同じサイズですが、実際に握ってみると、Pixel 4がかなり小さく感じます。
縦方向に長い分、横幅が短いのでそう感じるのですが、それ以上にコンパクト感があります。
こちらでは、Pixel 4と iPhone 7を重ねています。
Pixel 4とiPhone 7の本体の大きさは、やはりPixel4の方がいくぶん縦長ですが、横サイズはほぼ同等です。
来年2020年春に、ついに待望のiPhone SE 2が、iPhone 8サイズで発売されるとの噂がありますが、まさに、iPhone SE 2の大きさはPixel 4の大きさと言う事になりますが、iPhone X以降のiPhoneは大きすぎるとして、未だにiPhone 8のサイズ感を好むユーザーが少なくありませんが、Pixel 4はまさに、iPhone 8のサイズ感で、全画面モデルになったような印象です。
先のジェスチャーコントロールとこのサイズ感ですので、片手操作という視点で勘案すれば、Pixel 4が断然勝っていると言えます。
ただその分、Instagramもそうですし、YOUTUBEや映画配信などで利用する際には、6.1インチのiPhone 11の方が大きく見やすく、迫力があります。
メールやSNS、ニュースサイトやブログを読む等の普段使いの面で見るとコンパクトで細身のPixel 4に軍配が上がるのは明白ですが、他方、画像や映像などを中心に利用する場合には、やはり大画面モデルには及ばないのも事実です。
どちらが優れている、劣っているではなく、ユーザーの使途によって選ぶ事で、自らの用途に合ったデバイスをチョイスできるのかなと思いました。
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