iPhoneで海外eSIM:3香港のeSIMを日本国内で使ってみた

[公開日:2020/01/03]
筆者: 梅田店

「eSIM」という言葉を聞いたことがあると思いますが、まだ実際に使った事がある方はあまり多くないかもしれません。

当サイトでは、IIJが日本初のMVNOとしてリリースした「eSIM」(ベータ版)を契約して、実際に使ってみたレポートを掲載した事がありました(※)が、今回は、海外版のeSIMを契約して使ってみよう…という企画です。

海外版eSIMとして選んだのは、「3香港」という会社のeSIMで、料金の安さと、ローミング可能な国が多く(現在28か国)、ローミング時の通信速度も比較的良好と、3拍子揃った注目のeSIMである事です。

海外へ出かける事の多い方はもちろんですが、今回は、まったく海外に出かける予定のない筆者が、海外版eSIMをローミングで日本国内で使うという、クルマの逆輸入のような変則的なシチュエーションでの利用をレポートしてみます。

eSIMについておさらい、日本ではIIJのみが提供中

SIMは通常、通信を行うための情報が書き込まれた小片(チップ)を指しますが、eSIMには実態カードが存在せず、電子的にスマートフォンにインストールして利用するSIMカードです。

2018年に発売されたiPhone XS・XS MAX・XR以降のiPhoneで利用できますが、日本国内では、フルMVNOとなったIIJが2019年からベータ版として提供を開始したのみで、大手キャリアを含め、日本国内でコンシューマー向けの汎用サービスとしてeSIMを提供している通信会社は他にないのが実情です。

国内唯一のeSIMサービス IIJ eSIMプラン


国内唯一のeSIMサービスであるIIJのeSIMプランは、2019年7月18日に提供開始となりました。

IIJのeSIMプランについては、過去記事において、実際に利用した上でのレポートを掲載していますので、宜しければ参照してみてください。

IIJmioからeSIM登場!iPhone XSのデュアルSIMを使ってみた

通常、通信会社との回線契約を結ぶと、契約成立後に配送される物理SIMをスマートフォンに装着して、初期設定を行った上で利用開始となるため、1~2日の配送期間が必要となりますが、eSIMの場合には、ネットから情報を受け取ってQRコードを読み込むことでインストール可能なため、申込み直後から利用開始できるのが大きな利点です。

現在のルールでは、IIJ等のフルMVNOでは通話機能付きのeSIMは発行できませんので、eSIM=データ通信専用となるため、日本国内でのデュアルSIMの恩恵はあまり大きいとは言えません。

しかし、筆者のように、電話はドコモ回線が圏外だが、データ通信はドコモを使いたいといった事情がある場合には、通話用のSIMをSoftbank、データ通信用をNTTドコモ回線と分けられることで、通話・通信とも良好な環境で利用できる等、若干特殊ではありますが、メリットを感じられる状況もあるわけです。

また、大手キャリアで、データ通信量ごとに料金がスライドする従量課金制プランを契約している場合には、データ通信を、料金の安いMVNOのeSIMで賄う事で、通話・通信にかかる総支払額の節約が可能といったメリットもあります。

現時点では、IIJのeSIMプランはベータ版としての提供のため、料金プランは、6GB/月で1,580円と単一で選択肢がありませんし、実際に使用してみたところ、通信のピーク時間帯の速度低下が著しい点など、IJJmioの他プラン同様のデメリットも見受けられますし、他社MVNOの物理SIMを主回線にした場合の相性の検証等が進んでいないなど、まだまだこれからのサービスといった印象でした。

海外版eSIMを日本国内で利用する事ができる


海外に目を転じると、多くの通信事業者がeSIMを提供していますが、従来は、料金が割高で、海外渡航時に止むを得ずに利用するだけの存在でしたが、今回、取り上げる「3香港」のeSIMは、アジア圏を中心に世界28か国で利用可能で、料金も、かなりリーズナブルな設定となっており、ぜひ、試したいと思った次第です。

ただし、筆者は海外に出向く予定はまったくないため、海外eSIMを日本国内ではローミング状態で利用する…という、少々イレギュラーなシチュエーションでの利用となりました。

3香港のWEBサイトからの申込み手順


まず、「3」のWEBサイトへアクセスします→https://www.three.com.hk/eSIMMall/chi/eSIMMall/index.jsp?lang=eng

選択するのは「More than 100 hot that can be applied to the city」と記述された方の「Travel Data」SIMです。

テキストを自動翻訳する機能があるので日本語で表示する事も可能ですし、英語表示にして、Google翻訳で日本語に変換させても良いでしょう(筆者的にはGoogle翻訳の方がわかりやすかったです)。


SIMの内容を確認します。

138香港ドル(1香港ドル=14円換算)なので、日本円で1,932円、180日有効な4GLTEのSIMを、10日間利用できるパスを購入します。

ちなみに、10日間は連続している必要はなく、180日の有効期限の中で10日間使用する事ができるという意味です。


実際の注文画面です。

電話番号とメールアドレスを入力し、セキュリティコードを記入します(書かれている文字をそのまま記述)。

メールアドレス宛にAPNが送られてきますので、メールアドレスは正しく記述します。
【注意】
筆者は最初、普段iPhoneで使用している「Yahoo!メール」で手続きしたのですが、リターンが返って来ず、フリーメール以外のメールアドレスで「ワンタイム アクティベーションコード」を受信する事ができましたので、要注意です。



メールで、ワンタイムアクティベーションコードを受信します。



受信したメールに記載されたワンタイムアクティベーションコードを記載し、同意事項にチェックを入れて最終申込みとなります。



画面に「Thank you」の表示が出て、契約申込は完了です。


その後、登録したメールアドレス宛に、eSIMの設定ファイルのQRコードが送られてきますので、iPhoneにeSIMを設定します。

iPhoneのeSIM設定方法



「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信プランを追加」からeSIMを設定します。

「モバイル通信プランを追加」へ進むとカメラが起動するので、メールで受信していたQRコードから設定ファイルを読み込みます。

【注意】
QRコードというと、スグにカメラを起動したくなりますが、カメラからQRコードを読み込んでも正しく設定できません。

読込めなければ良いのですが、カメラからでも設定ファイル自体は読込んでしまうのでややこしいのですが、eSIMの設定は、必ず「設定」→「モバイル通信」→「モバイル通信プランを追加」と進んでください。

筆者が、IIJmioのeSIM設定の際、eSIM発行手数料を2度支払うハメになってしまった実際の失敗談ですのでご注意を。



デフォルト回線をどちらにするか、モバイルデータ通信はどちらのSIMを使うか…等の幾つかの設定を行いますが、全て後から設定変更可能ですので、「とりあえず」で設定してしまって大丈夫です。


全ての設定が完了し、副回線に「3」のeSIMがインストールされ、正常に電波も受信しました。

日本でのローミング先は、Softbankのようです(※)


⦁ 参考にした記事の多くはNTTドコモ回線にローミングしたとありましたが、筆者の場合は、まずSoftbank、次いでau回線にローミングしていましたので、日本国内のローミングは特に1社ということではなく、状況によって切替わるようです。

表示の上が「副回線」で「3香港」のeSIM、下が「主回線」で、日本通信b-mobileのドコモ回線SIMです。

3香港のeSIMの設定を完了してみて

海外のeSIMと言う事で、少し不安もあり、身構える部分もあったのですが、設定完了してみると特に問題もなく、設定の途中で迷う事も、分からずに立ち往生する事もなく、至極スムーズに設定完了に至る事ができました。

138香港ドルと言う事で、為替レートで価格が変動するのが玉にキズですが、eSIMを使ってみよう…と思ってから、小1時間で設定完了まで至りました。

記事にする事が前提ですので、逐一、スクリーンショットを撮影しながらで、その程度の所要時間と言うのは敷居が低いと感じます。

もちろん、筆者がIIJmioのeSIMを設定した事があるので、端末側の設定で迷わなかった事もありますが、ごく普通に設定すれば問題なく誰でも設定できると感じました。

3香港eSIMは速いのか?通信速度をチェック



設定完了してすぐに計測してみました。

NTTドコモにローミングしている状態と、KDDIローミングの状態の各々の通信速度です。

いずれも反応の良し悪しに影響するPING値があまり芳しくありませんが、上り下りとも通信速度は良好な数値を記録しています。

時間帯は、夕方~夜間のやや通信が混雑する時間帯で、速度低下が起こりやすい時間ですので、この速度は良好と言えます。



こちらは、平日昼12時台の最も通信が混雑する時間帯の速度計測結果です。

NTTドコモ回線でも、au回線でも特に大きな速度低下は見られず(逆に夕方~夜間より速いぐらいです)、国内の一部の速度低下の著しいMVNOよりも使い勝手は良いと感じました。

いずれの回線のローミングでも通信速度は非常に良好ですが、特にau回線の通信速度が速く、NTTドコモ回線よりも5Mbps程度速い速度を記録していました。

この速度がコンスタントに出るのであれば、国内のMVNOの最速クラスと同等程度であり、充分実用性があるように思います。

海外版eSIMを日本国内で利用するメリットはあるのか

180日間有効の中で10日間利用することができ、1日当りの高速通信の上限は500MB(500MB超の場合は128kbpsに制限)で、コストは138香港ドル(為替14円換算で1,932円)となり、正直、単なるSIMとして見れば割高です。

IIJmioのeSIMプランは、ベータ版で未だ容量選択ができず、6GB1,580円ですので、100MBあたり25.7円ですが、「3香港」のeSIMは、500MB×10日=5000MBで1,932円ですので、100MBあたりのコストは38.6円となります。

ただ、データ通信SIMを毎日使う訳ではない…という場合には、IIJのeSIMは3か月間で使っても使わなくても4,740円がかかりますが、「3香港」では、連続しない10日間を3か月間の間に任意のタイミングで利用して1,932円ですので、使い方によっては、「3香港」の方が割安になるケースもあるわけです。



デフォルトでは、「ネットワーク選択」は「自動」になっていますが、手動でNTTDOCOMOを選択すれば、ドコモ回線とローミングしますので、指定した回線での通信が可能と思われます。

実際に試した処では、NTTDOCOMOとKDDIはネットワークを指定する事ができましたが、Softbankは指定してもローミングせず、圏外になってしまいました。

自動ではローミングしていたのに、手動ではローミングできない理由は分からないのですが、何らかの理由があるのかもしれません。

3キャリアを指定してローミングできるのであれば、場所によってドコモ・au・Softbank回線の通信状態が思わしくない場合でも、適切な回線を選んで接続する事ができるため、3キャリアまとめて契約したような感じです。

今回、「3香港」eSIMを実際に使ってみて感じた一番のメリットと言えるかもしれません。

使用している端末はiPhone XSで、物理SIMとeSIMのデュアルSIMですが、物理SIMの通信回線の他に、3キャリアとローミングできるeSIMを使用することで、「トリプルSIM」として使用する事ができるとすれば、新しい発見です。

3香港eSIMのメリットとは

今回、3香港eSIMを使ってみて筆者が感じたメリットです。

(1)eSIM1つで、3キャリアの回線を利用可能(ローミング)
詳細は前項で述べた通りですが、日本国内では、NTTドコモ・au・Softabnkの回線にローミングしていましたので、ネットワーク選択を自動ではなく手動にすることで、任意の回線を利用する事ができます。

例えば、旅先などでドコモが圏外の地域や、auのアンテナが立たない場所があっても、代替回線を契約しているのと同様に、受信感度の良い回線を利用する事が可能です。

(2) 10日間を使い切った後は1日ごとで利用可能
今回の「3香港」eSIMは、180日の有効期限内に10日間使用できますが、10日分を使い切った後でも、SIMの有効期限内であれば、「1-Day」のリチャージを利用する事ができます。

「1-Day」プランは15香港ドル(日本円14円換算210円)とリーズナブルで、500MB/日利用する事ができますが、デフォルトの10日分を使い切った後の追加購入専用のプランで、契約時点で購入する事はできません。

追加プランの購入には、契約完了後に受信するSMSに記載されている「mobile No.」と「password」が必要なので、SMSメッセージを保管しておくか、メモなどに残しておく必要があります。

(3)テザリングが可能
ローミング回線に関わらず、テザリングが可能です。

eSIM1つで、手持ちのタブレット等のデータ通信を賄う事が可能です。

(4)海外28か国で利用可能
3香港eSIMは、当然ですが、世界28か国で利用可能です。明日にでも海外へ出かけてもデータ通信が可能です。

3香港eSIMのデメリットとは

今回、3香港eSIMを使ってみて筆者が感じたデメリットです。

(1)料金が若干割高、180日で10日間は少し少ない
あくまでも筆者が国内で使用する観点での感想ですが、前述の通り、eSIMどうしの比較でも、IIJmioが25.7円/100MBに対して、3香港は38.6円/100MBと若干割高です。

しかし、日本国内で使用する場合、3キャリアいずれもローミングできるメリットを勘案すると許容できる料金差かもしれません。

(2)香港では利用できない
3香港の「Travel data」プランは、各国のローミングを利用するサービスのため、3香港がある香港では利用できません。

代わりに、香港で利用するための「Hong Kong data」プランが用意されています。

3香港eSIM Travel dataプランの国内利用 まとめ

今回は、数ある海外eSIMの中でも、コスト的にも割安で、日本国内もローミング利用が可能な「3香港」のeSIMを、実際に契約し、利用してみました。

契約自体は思っていたより簡単で、特に難しい場面もなく、すんなり契約完了となりました。

iPhoneへのSIMの設定も、以前にIIJmioのeSIMを設定した経験があるためか、問題なく設定完了できました。

実際の通信では、ドコモだけかと思っていたローミング先が、3キャリア全て(※)である事や、通信速度や通信品質も国内MVNOに劣る印象もなく、非常に使い勝手の良さを感じました。

⦁ 設定直後はSoftbank回線にもローミングしたのですが、その後、ネットワーク選択を手動で行った際には、NTTドコモとKDDIにはローミングできたものの、Softbankは圏外になってしまっているので、「3キャリアでローミング可能」は少々不確かな面がありますのであらかじめご了承ください。

日本国内だけで利用するには少し不自由ですし、料金も割高ですが、決して使い道がない…という訳ではなく、特定の回線が圏外になるような場所等では、複数のローミング先がある事がメリットとなると感じました。

source:3香港 | eSIM

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