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iPhone修理のダイワンテレコム新宿店です。
『iPhoneのバッテリーの寿命は早ければ2年』
そんな話しを聞いた事がありませんか?
今回は、この「iPhoneバッテリーの寿命は2年」説と、その根拠になっている「充電500回で寿命」について解説します。
これを読めば、iPhoneバッテリーの正しい耐用期間や、耐用期間を延長する方法等が分かります。
Appleの公式WEB「バッテリーのサービスとリサイクル」には、上記のような説明が掲載されています。
世の中に数多い「iPhoneの寿命は充電500回」の根拠はこの記述ではないかと思われます。
また、この充電回数500回を基準に、約1.5日に1回充電すると730日(365日×2)となる事から、iPhoneバッテリーの寿命は2年という説が出てきているのではないかと思います。
しかし、Appleの記述をよく読んでください。
充電500回で寿命だとはどこにも書かれていません。
書かれている事はこの2つです。
では、書かれている事を個別に解説致します。
Appleが言うところの、バッテリー耐用期間の目安である「フル充電サイクルを500回繰り返した時にバッテリー容量が80%になるように設計」を理解するためには、まず「フル充電サイクル」という言葉自体を理解する必要があります。
こちらは、iPhoneバッテリーの充放電を図解したものです。
満充電のiPhoneを、容量の75%分を消費し使った分を充電、再度満充電になったiPhoneを25%分の電力を消費し、その分を充電した…というのが図の意味です。
放電(iPhoneを使う事)は75%と25%です。
75%放電+25%放電=合計100%分のバッテリーを放電した事を「フル充電サイクル」1回とカウントします。
フル充電サイクルは、2回でも、3回でも、放電量が100%になるごとに1回カウントされてゆきます。
Appleが述べているのは、この「フル充電サイクル500回」と言うことであって、
と言う事ではないので、正しく理解しなければなりません。
さらに、日に複数回に分けて充電しても、充電回数が増えるわけではありませんし、一度に大量の充電を行う方がバッテリーにとってはダメージ(後述)となりますが、この辺りもよく誤解を生じやすいので注意が必要です。
「フル充電サイクル500回」を言い換えると、100%×500回=50,000%の放電を行う事であり、充電回数に無関係に繰り返し充放電を行って、トータル50,000%放電に至った時が「フル充電サイクル500回」となります。
前項では「フル充電サイクル」について解説しましたので、Appleの言う500回が、充電回数や満充電になった回数ではない事が分かった上で、説明文の先に進みましょう。
説明文では「フル充電サイクルを500回繰り返した時に、本来の容量の80%を維持できるように設計」とあります。
これは、フル充電サイクル500回を繰りかえした場合に、うまくゆけば容量80%を維持できているという意味です。
つまり、フル充電サイクル500回を繰りかえした時点が「寿命だ」とは書いていないのです。
これは、うまくゆけば容量80%を維持できる可能性があり、うまくゆかない場合には80%を割り込む可能性もあると言う事になります。
Appleはこうも言っています。
「バッテリーというものは消耗品であって、科学的経年劣化が進むにつれて性能が低下する」
上記の記載において、バッテリーの劣化の症状として、まず「容量の低下」をあげ、次に「最大瞬時給電能力(ピーク電力)」の低下」を挙げています。さらに、ピーク電力が低下したバッテリーからの給電は電圧が急激に低下する事によって、iPhoneの「電子部品が正常に動作するために必要な電圧が不足する」としています。
Appleは、これらのiPhoneを日々利用する上で支障が生ずる程度のバッテリーの劣化の目安を、充電容量80%と見ている訳です。
Appleが、冒頭の事例の短い文章で言っている事をまとめると以下になります。
と言う事で、Appleの言うバッテリーの寿命は、回数や年数ではなく、「iPhoneが正常な動作に必要な電力・電圧を供給できなくなった時」であるというのが正解と言えます。
その目安となるのが、「フル充電サイクル500回」だというわけです。
ちなみに、筆者の事例で言えば、「40%まで容量が減ったら90%まで充電する」と言うパターンで充放電を繰りかえしていますので、平均的に見た「フル充電サイクル」1回に、2日を必要とする事になりますので、フル充電サイクル500回に達するためには、1000日=2.74年と言う事になります。
もちろん、バッテリー消費が多い日もあれば、ずっと待受けのみでバッテリーを消費しない日もあるので、あくまでも目安に過ぎませんが、少なくとも、筆者の場合はバッテリーの寿命は2年とは考えていません。
また、フリマアプリ等を検索すると、2年以上使用のiPhoneのバッテリーが容量80%を下回っている出品はあまり見かけませんので、Appleの記述は、物事は悪く進んだ場合のリスクを考慮しての事なのかもしれません。
一般ユーザーがごく普通に使った場合、余程、悪条件下で酷使しない限り、iPhoneバッテリーが2年で寿命を迎えるというのは、筆者の感覚では少々早過ぎる印象です。
では、「うまくゆく」とはどういう意味で、どんな場合に容量80%以上を維持できるのでしょうか。
Appleは、iPhoneを利用する上での周囲温度を0℃~35℃、最適温度は16℃~22℃を推奨、保管時の温度は-20℃~45℃としています。
推奨温度を上回るような過酷な暑さの下での利用は、iPhoneのバッテリー及び電子部品等に大きなダメージとなる場合があるとして注意を呼び掛けています。また、推奨温度を下回る極寒での利用はバッテリー等が正常に動作しない場合がありあすが、周囲温度が適温になれば機能も回復するとしています。
特に注意すべきは、炎天下の車中(特にダッシュボード)への放置です。JAFの調査によれば、直射日光が当たるダッシュボードの温度は70~80℃にもなるので、確実に大ダメージとなってしまうに違いありません。
参考記事:iPhoneが高温に!正しい発熱対策&冷却方法について
他の何よりもiPhoneのバッテリーを長生きさせるためには、バッテリーにダメージとならない優しく正しい充電放電を心がける事ですが、特に、充電には様々なコツやNGがあるので注意が必要です。
「フル充電・フル放電を避ける」「一度の充電量を少な目に」は、iPhoneに充放電する場合の基本中の基本なので、ぜひ覚えて下さい。
現在、iPhoneを含むスマートフォンに使用されているリチウムイオン電池は、前世代のニッケル水素電池に比べて、圧倒的に「メモリー効果」の影響を受けにくくなっているため、充電を使い切ってから充電する必要はありません。
必要はないどころか、リチウムイオン電池では「フル充電・フル放電」がダメージにさえなるので避けるべき充放電方法です。
さらに、一度に充電する量も少ない方がバッテリーに与えるダメージが少なく、劣化度合いが軽くなります。
メモリー効果の影響がほとんどないリチウムイオン電池は、少ない量の充電を何回も繰り返した方が、一度に大容量を一気に充電するよりもダメージが少ないお勧めの充電方法です。
こちらは先にも使用した図解ですが、充放電は各々100%ずつであっても、100%まとめて充電するより、40%+45%+15%とこまめな充電をした方がバッテリーに優しい充電となります。
そうした充電をしても「フル充電サイクル」の考え方からすれば、劣化が早まる訳ではないので心配不要です。
リチウムイオン電池は、フル充電・フル放電がダメージになってしまうため避けるべきである上、フル充電状態にも関わらず充電コードを繋いだままにする等、充電負荷をかけ続ける事は避けるべきです。
実は、この考え方には賛否両論あって、「フル充電になれば充電はカットされるので問題ない」とする説もあったのですが、Appleがこの件について間接的に答えを出したので、やはり避けるべきと言う事になったように思います。
その間接的な答えとは、次期iOS13に搭載される「最適化されたバッテリー充電」という新機能で、例えば就寝中の充電を習慣にしているユーザーの場合に、ユーザーの起床までは充電量を80%に留めておき、起床後に81%以降の充電を再開する…等、ユーザーの充電パターンをiPhoneが学習して最適化する機能が搭載されます。
つまりこの機能では、81%以上のリチウムイオン電池に負担となる充電量で、長時間充電負荷をかけた状態にできるだけしない方が良いとAppleが考えているという意味になるわけです。
この考えに従えば、日々の生活の中での充電もできれば80%以上はできるだけ避け、フル充電にはしない、なった場合でも長時間充電負荷をかけないといった事を心がけるのがバッテリーに優しい充電と言う事になります。
参考記事:「iPhoneバッテリーに優しく正しい充電方法」はこちら
例えば、動画や映画などの大ファイルをDL~再生しながらの充電や、ゲームをプレイしながらの充電など、高負荷のコンテンツを利用しながらの充電は、高温となる等のバッテリーにダメージを与えます。
コンテンツやアプリの利用は充電完了後に実行するようにしましょう。
こちらは、充電と直接は関係ありませんが、充電時の発熱で本体が熱くなっている場合、そのまま放置せず下記の対応を行った方がバッテリーへのダメージを少なくする事ができます。
その理由など詳細な解説は以下の別記事をご参照ください。
参考記事:「iPhoneが高温になった際の正しい発熱対策&冷却方法」はこちら
理屈で「フル充電サイクル」や正しい充電方法が分かったところで、実際のバッテリーの耐用期間や寿命についてどう判断すれば良いのでしょうか。
毎日の充電量・放電量を記録していて、トータル50,000%放電のタイミングを把握できている…というユーザーはまずいないと思いますので、何らかの方法で、バッテリーの寿命を知る方法が必要です。
Appleは、そんなバッテリーの「耐用期間」や「寿命」をユーザーが把握する事ができる機能をiPhoneに搭載しています。
iOS11.3から搭載された新機能で、「バッテリー容量」や、電源管理システムによるバッテリー管理の状態を把握する事ができるようになっています(※)。
「バッテリー容量」は、事例では98%ですが、前述の通りAppleは容量80%をバッテリー劣化の目安としていますので、この数値を確認する事でおおまかなバッテリーの寿命を把握する事ができます。
また、バッテリー管理の状態は、初期の劣化のない状態では「ピークパフォーマンス対応」となっていますが、バッテリー劣化によるシャットダウンが1回でも起こると、「パフォーマンス管理」の状態となります。
これは、バッテリーの劣化によりiPhoneが必要とするピーク電力を充分に供給できないためシャットダウンが発生し、それを受けて電源管理システムが、再度のシャットダウンを防止するために、iPhoneのパフォーマンスを制限する等して管理を行っている状態です。
この「パフォーマンス管理」の状態では、iPhoneは本来の性能をフルに発揮できない可能性が高いため、早めのバッテリー交換が必要とされます。
iPhoneバッテリーの耐用期間・寿命とバッテリー交換タイミングの見極め
以上のように、iOSのアップデートを行っていれば、バッテリー管理、耐用期間の把握は容易です。
1.バッテリー容量が80%に近づいてきたら要注意
一概に80%になったら使えないとも言えない反面、81%あるからと問題がない訳でもないので、あくまでも目安として容量を把握しておく事がお勧め
2.ピークパフォーマンス性能への対応
ピークパフォーマンスが適用されている間はバッテリーは問題ないと見てよい。
例え、(あまりない事だが)容量が90%近くあるのに、パフォーマンス管理状態になっている場合には、バッテリーの劣化は進んでいると見てよく、バッテリー交換を検討すべきと判断できる。
バッテリーがパフォーマンス管理の状態となった場合には、早晩、バッテリーを交換する必要がありますが、バッテリー交換を実施する際に、ユーザーには2つの選択肢があります。
Apple純正修理 | 項目 | 修理店(ダイワンテレコム) |
---|---|---|
純正品 | 部品 | 単用品 |
店頭持込・配送 | 依頼方法 | 店頭持込・配送 |
必須 | 予約 | 不要 |
必須 | データバックアップ | 不要 |
解除 | アクティベーションロック | 不要 |
必須 | データ消去 | そのまま残る |
全て修理・請求 | 他の不具合 | 依頼部分のみ |
店頭:約3時間 | 所要時間 | 店頭:約20~30分 |
Apple純正修理の場合は、料金が高いのは勿論ですが、他にも上記のような点で修理店との違いがあります。
予約なしで店頭を訪問し、データのバックアップも不要で、データも消去される事なくバッテリー交換可能なのは修理店ならではのメリットです。
また、Appleでの修理の場合、ユーザーがバッテリー交換のみを希望しても、他に故障や破損がある場合には必ず修理が行われ、その分の修理代金も請求されるため、思わぬ高額な請求となるケースがあります。
また、データはバックアップ必須で、端末のデータは消去され初期化された状態で戻ってくるのもデメリットと言えるかもしれません。
一方の修理店の方は、使用するバッテリーが純正品ではないため、電源管理システムがバッテリーを認識できず、iPhone電源管理は「不明」表示となってしまう上、以降の修理に保証(Apple Care+)が適用されなくなる等のデメリットも併せ持っています。
「Apple Care+」は、新品購入時のみ加入できるiPhoneの修理保証プログラムで、機種によって所定の金額を支払う事で、割安な料金で様々な修理を受ける事ができます。
iPhoneX Max iPhoneXS iPhoneX |
22,800円 | iPhone8 iPhone7 iPhone6s |
14,800円 |
---|---|---|---|
iPhoneXR iPhone8Plus iPhone7Plus iPhone6Plus |
16,800円 | iPhoneSE | 12,800円 |
例えば、iPhone XSの場合、Apple Care+の料金は22,800円で、バッテリー交換は7,800円→無料、画面交換は31,800円→3,400円、その他の損傷の場合は62,400円→11.800円となります。
確かに何かあった場合には経済的に大きな助けになる事は間違いありませんが、何も起こらなかった場合にはApple Care+は大きな負担となります。
ちなみに筆者はiPhone4sからずっとiPhoneを利用していますが、現在までの間、バッテリー交換以外の修理を受けた事がありません。修理を必要とするような故障・破損に見舞われた事がなく、必然的に一度もApple Careに加入した事がありませんし、必要を感じた事もありません。
あくまで筆者の考えですが、12,800円~22,800円の「保証料」が割安だと考えられる場合は迷わず加入すべきですが、コストに見合わないと感じる場合には、無理に加入する必要はないように思います。
ここまで見てきたように、iPhoneバッテリーの耐用期間や寿命は、決して、充電回数でも、満充電回数ではなく、トータルの放電量を100%ごとに「フル充電サイクル」によってカウントされた500回が目安であり、Appleは「フル充電サイクル」500回繰り返しの時点で最大80%の充電容量を維持できるように設計しています。
そして、実際のバッテリーの寿命は、iPhoneの電源管理システムが「パフォーマンス管理」を適用した状態が、バッテリー交換のタイミングだと考えられます。
劣化したバッテリーは、iPhoneが必要とする電流や電圧を供給できなくなり、引いては、iPhoneの電子部品にも悪影響を及ぼす可能性が高いため、パフォーマンス管理が適用されたバッテリーは、速やかに交換する事をお勧めします。
引用元
Source:バッテリー - サービスとリサイクル - Apple(日本)
Source:iPhone のバッテリーとパフォーマンス - Apple サポート
Source:バッテリー - パフォーマンスを最大化する - Apple(日本)
Source:iPhone 修理サービス料金 - Apple サポート
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