
iPhone修理のダイワンテレコム新宿店です。
「HuaweiがついにAppleを抜いて世界シェア第2位に」というアメリカの調査会社のレポートが発表され、多くのメディアがiPhoneの、そしてAppleの凋落傾向を報じました。
これまで、1位:Samsung(韓国)、2位:Apple(アメリカ)という不動の2トップ体制が長らく続きましたが、2018年第2四半期では、Huawei(中国)が出荷台数ベースのシェアでAppleを抜いて第2位へ浮上しました。
HuaweiがAppleを抜いて世界シェア第2位へ
こちらは、IDCによる「2017第2四半期」と「2018年第二四半期」の世界シェアトップ5の出荷台数とシェアを比較したものです。
このデータによれば、確かにHuaweiとシャオミが前年同期比で40%超の増加となっており、勢いが従来のSamsung・Appleの2トップから、新興中華スマホに移行しているように見えます。
しかし、これは決してAppleの凋落を表すものではありません。
このデータでも、微増と言えどもAppleも前年同期比で出荷台数・シェアもを伸ばしていますし、第2四半期という時期(4~6月)は、毎年9月に新機種の投入を行うAppleには販売が伸びにくい時期でもありますので、この数字だけをもって、Apple凋落とは言い難いものがあります。
Apple、2018年第2四半期に最高益
Appleは、2018年4~6月期の純利益が、前年同期比32%増の115億1900万ドル(日本円で1兆2880億円)だったと発表しました。これは、Appleにとって6期連続の増収であり、第2四半期として過去最高益です。
その要因はいくつか考えられます。
1. 旗艦機種の販売が好調だったこと
2017年秋に発売した「iPhoneX」は、端末価格の設定が高額であるにも関わらず、発売以来全ての月で全iPhone中トップセールスを記録する等、収益を押し上げました。
2. ソフトウエアに注力していること
Appleは、iTunes・Apple music・動画配信・ApplePayなどのソフト部門に注力しており、iPhoneやiPadといったハードの販売による収益の比率が減少傾向にあります。
これらの状況から、Applleは、シェアよりも収益額を重視する方向に転換しているようです。
iPhoneの出荷数シェアが第3位に墜ちたからといって、すなわちAppleの凋落だとするにはいささか早計です。
「シェア」っていったいなんだろう?
シェアとは「市場における占有率」です。
前項のシェアと収益額の関係を簡単に説明するとこうなります。
A社が10万円のスマホXを3万台、H社が2万円のスマホを7万台出荷したとします。
1台における収益率はどちらも3割だとし、その出荷数全てがユーザーに購入され完売したとします。
すると、出荷台数ベースのシェアは30%、Huaweiは70%になり、非常に大きな差があるように思えます。
しかし、その売上高を見てみると、A社は10万円×3万台=3億円の売り上げで9000万円の利益、H社は、2万円×7万台=1億4000万円の売り上げで4200万円の利益を得ることになります。
こちらは「Counterpoint Research」による2018年5月の世界のスマートフォン販売シェアです。
トップセールスはiPhone8で、機種個別では最も売れているスマホですが、3位のiPhoneX、5位のiPhone8Plusを合わせても、Apple製品のシェアは6.8%に過ぎません。これに対しAndroidスマホのシェア合計は12.0%となり、シェアではAndroidスマホがiPhoneを圧倒しているという事になるわけです。
シェアは、企業を測る一つの目安ではありますが、製品の価格や、その企業がどこに注力しているかによってその意味は大きく異なる事を忘れてはなりません。
iPhoneの凋落傾向はウソ?
ここまで見てきたように、iPhoneは世界で最も人気があるスマホであり、多くのユーザーに購入されている人気のスマートフォンである事は事実ですが、高額な価格設定から、開発途上国などではまだまだ高根の花で一般ユーザーが手を出しにくいというケースも少なくありません。
その結果、出荷台数シェアにおいてはHuaweiに抜かれてしまいましたが、過去最高益を叩き出し、発売から半年以上経過しても単月で売上げ上位に食い込むなど、iPhoneの人気は決して衰えていないことがわかります。
世界的な人気スマホであるiPhoneが凋落している…と書かれれば興味を惹かれますが、実際には単にシェアの順位が入れ替わっただけであり、出荷台数もシェアも微増ながら増えていますし、iPhone販売を含むApple全体の収益額はかつてないほど好調だという事が確認できました。