米中摩擦が激しくなる中、アメリカ政府によるHuawei排斥はますます厳しくなる一方ですが、Huaweiは、万が一、自社スマートフォンにAndroid-OSを使用できなくなった場合に備え、自社内製OSの開発を進めています。
3月7日、Huaweiは、米国防権限法(NDAA)で同社製品の使用が禁じられたことは憲法違反に当たるとして米政府を提訴しました。
これについて郭平(グオ・ピン)副会長兼輪番会長は、「米議会はファーウェイ製品の使用規制の裏づけとなる証拠を一切提示していない。そのためHuaweiは、適切かつ最後の手段としてこの法的措置をとらざるを得ない」との声明を発表し、「この使用禁止決定は違法なだけでなく、Huaweiが公正な競争に参加できない事は結果的にアメリカの消費者に不利益を与えている」と強調しました。
一方のアメリカ政府は、今週はじめに「ドイツの5Gネットワーク構築において、Huaweiとの契約を締結するならば情報機関における機密共有のレベルを下げる」と独政府に通達しました。
これは、ドイツの情報セキュリティ担当官庁、BSI(Bundesamt fur Sicherheit in der Informationstechnik)が発表した 5Gモバイル・ネットワーク構築にあたって必要となる「セキュリティ要件」に対応したもので、その発表では、入札からHuaweiを明確に排除する条項が含まれていませんでした。
ドイツはこの2年間だけでも国際テロ組織「IS」を支持するイスラム過激派や、クルド過激派などから数回にわたって攻撃を受けていますが、ドイツを含むNATO加盟国「フォーティーン・アイズ」と通称される西側諸国は米国の情報コミュニティーから得た大量の機密情報をプールしてテロ対策のために役立てている現実があります。
Richard Grenel駐独米大使は、「中国のスパイ行為の恐れがあるため、(5Gネットワーク構築にHuaweiが参画するなら)従来どおりの機密情報の共有はできなくなる」と述べています。
米国の圧力は、既にカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、ヨーロッパ諸国の大部分にHuawei排斥させる事に成功しており、報道によれば、ここ数週間のうちに欧州委員会は、Huawei機器の採用を全面的に禁止する法律を制定する可能性があると言います。
こうした危険要素を踏まえ、Huaweiはすでに独自のオペレーティングシステムを準備、「Androidを使えなくなっても、それに代わるB案の用意がある」としています。
Huaweiの懸念は、中国政府との結びつきによるスパイ行為だけでなく、イランへの制裁違反や関税回避などの問題もあり、今現在も同社のCFO:Meng Wanzhou(孟晩舟氏)はカナダに拘留中、加えて先週の米政府提訴による最悪のシナリオで、同じ米国企業であるGoogleのAndroidが使えなくなる事です。
とは言え、中華圏以外で独自OSの展開はそう簡単ではないはずで、「すでにB案の用意がある」としながらも、可能であればこのままAndroidを採用し続けたいのが本音ではないでしょうか。
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